減塩食品を手に取ったときに、「減塩」「塩分控えめ」などの表示(強調表示と呼びます)を目にしたことはありませんか?
実は、食品に含まれる塩分量によって、表示のしかたが決められているんですYO☆
塩分とナトリウム
「塩分」と「ナトリウム」。これらは、同じではありません。
簡単に違いを説明すると、以下のようになります。
- ナトリウム=Na(元素)
- 塩分=食品に含まれる塩(NaCl)の量
食ベものには、もともと「ナトリウム(以下Na)」が含まれているものがあります。
人体の健康に影響があるのはNaだと考えられているため、商品にNa量を記載するには
「食品に含まれる塩分+食材由来のNa=食品の総Na量」
を表示する必要があります。
食品の総Na量を、再び塩分に換算した数値を、「食塩相当量」と呼んでいます。
表示ルールの規定には、Naがたくさん出てきます。
なんとな~く、頭の隅に入れておいてくださいね。
減塩の栄養表示基準
減塩などの栄養成分表示のルールは、消費者庁によって定められています。
表示例 | 食品100g(または100㎖)あたりのNa量 | |
含まない旨 | 無塩、 食塩ゼロなど | 5㎎未満 |
低い旨 | 低塩、 塩分控えめなど | 120㎎以下 |
低減された旨 | 減塩、 〇%カットなど | 対象食品から、Na低減量が100g(または100㎖)あたり120㎎以上 かつ、対象食品に比べて低減された割合(相対差)が25%以上 |
無添加強調表示 | 食塩無添加、 食塩不使用など | いかなる塩分も添加されていない |
塩分が少ないことを強調している表示
含まない旨の表示
「無塩」「塩分ゼロ」などの表示があります。
食品100g(または100㎖)中に、Naの含有量が5㎎以下(塩分約0.01g)の商品が表示できます。塩分を含まない商品、もしくは、ほぼ含まない商品です。
スーパーでは、ミックスナッツなどに表記されているのをみかけます。他には、「塩分ゼロうどん」「無塩そうめん」などがありますね。
低い旨の表示
「低塩」「塩分控えめ」などの表示があります。
食品100g(または100㎖)中に、Naの含有量が120㎎以下(塩分約0.3g)の商品が表示できます。
含まない旨の表示と比べると、Naの量が一気にあがりました。
塩0.3gは、小さじ1/20に相当します。(かえって分かりづらいでしょうか💦)
スーパーでは、低い旨の表示を見たことがありません。ネットでも調べましたが、見つけることができませんでした。
よく目にする「塩分控えめ」の表示は、「〇%カット」と一緒に表示されていることが多いようです。
これは、次に出てくる「低減された旨の表示」に基づいて表示されています。
低減された旨の表示
「減塩」「〇%カット」などの表示があります。
対象商品から、Na低減量が100g(または100㎖)あたり120㎎以上(塩分約0.3g)、かつ、対象食品に比べて低減された割合(相対差)が25%以上の商品が表示できます。
食品中のNa含有量を25%以上低減することで、保存性・品質を保つことが難しい食品については、特例が認められています。
これに該当しているのが「味噌」と「醤油」です。
味噌は15%、醤油は20%以上低減されていれば、「低減された旨」の表示ができます。
「低減された旨」の場合、比較対象である食品から、どれだけ塩分を減らしたか、という表示です。対象食品の塩分が高いと、大幅に減塩しているようでも「思っていたより塩分が多かった」ということもあり得ます。
減塩と表示されていても、栄養成分表示を確認することが大切です。
塩分を使用してないことを強調している表示
無添加強調表示
「食塩不使用」「食塩無添加」などの表示があります。
いかなる塩も添加されていない商品が表示できます。
「含まない旨」の表示と、内容が同じように感じませんか?
どちらも「塩分が入っていない」と、とらえることもできますよね。
この違いを簡単に説明すると、以下のようになります。
・含まない旨=「塩は入っていません」
・無添加強調表示=「食品を加工するときに、塩を使っていません」
本来、塩を添加して加工する商品(バター、パンなど)を、塩を使わずに加工したことを強調するために、表示されていることが多いですね。
添加されていないものには、醤油やソース、塩蔵魚など、Naを含む調味料、原材料も含まれています。
あくまで「付け足していない」いうことなので、「Naがゼロである」ということではありません。
購入するときは、栄養成分表示を確認してみましょう。
「うすしお味」「うすくち醤油」などは注意
「うすしお味」「塩味控えめ」「うすくち」などの表示は、Naが低いという強調表示ではありません。
〇〇”味”がついたら
まぎらわしいですが、「〇〇味」とつけることで、強調表示のルールに従う必要がなくなります。”Na量”ではなく、”味”についての表示になるからです。
うすしお味といえば、湖池屋のポテトチップスですよね。
なぜ、うすしお味と表示しているのか?質問コーナーで回答されていました。
食品表示基準により製品100gあたりナトリウム量が120mg以下でないと『うすしお』と表記することができませんが、製品名の最後に『味』を付けることによって、イメージした味の名前をつけることができます。弊社『ポテトチップスうすしお味』は、『しお味』では味が濃く、しお味が強く感じられるとの調査結果から『うすしお味』と独自に名付けました。
湖池屋/お客様センター
塩味にするには強すぎるけど、うすしおとは表記できないから、うすしお味にした、ということですね。
このように、それぞれ食品のイメージに合わせて表示されているようです。
うすくち醤油は薄くない
うすくち醤油の「うすくち」は、”Naが薄い”のではなく、”色が薄い”です。
うすくち醤油は、作るときに塩分を多く加えることで、発酵・熟成を抑え、淡い色に仕上げています。
そのため、「うすくち」なのに、醤油の種類のなかでは1番塩分が高くなるという、まぎらわしいことになっています。
減塩と塩分控えめの違い
さて、結局「減塩」と「塩分ひかえめ」の違いはどこにあるんでしょうか?
「減塩」は明確に規定がありましたが、「塩分控えめ」は表示の幅が広いようです。
そこで、以下のように判断してみてはどうでしょうか。
【減塩】
対象食品との比較によって、〇%塩分が少ない。
【塩分控えめ】
100g中、Naが0.3g以下に抑えられている。
ただし、「〇%カット」などが一緒に表示されていたら、その限りではない。
(100g中、Naが0.3g以下とは限らない)
どちらにせよ、栄養成分表示を確認してみるといいですね。
食塩相当量には許容差がある
Na量・食塩相当量は、加工食品に表示されている数値から、許容される範囲(=許容差)があります。
許容差の範囲は±20%
バナナひとつとってみても、全てのバナナが全く同じ栄養価である、ということはありませんよね。
使用する原材料や、製造工程によるわずかな違いは、どうしても生じてしまいます。
そのため、±20%の範囲なら、表示OKとなっています。
表示されている数値は、多少前後する、ということを知っておきましょう。
あなたに合った減塩食品を選ぼう
普段何気なく見ている食品の表示には、厳しいルールが決められています。
その一方で、まぎらわしい表示もあるので、注意しましょう。
減塩食品を購入するときの参考にしてみてくださいね。
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